IMPACTISM “OUR FUTURE”は慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(KGRI)による2040独立自尊プロジェクトによって生まれた、学生による番組。2040年には未だ人類が経験したことがない超高齢社会が到来し、私たちの生活はもとより、国の基盤も揺るがすような危機に直面すると考えられています。この「2040年問題」に対して、大学での学びが将来どこに結びつくのか、未来を担う学生の目線で今とこれからを発信していきます。
IMPACTISM “OUR FUTURE” #2-1:
言葉発電機
今回からseason2の幕開けです!目まぐるしい社会に触れながら、それぞれの日々に励んでいる私たち学生。それぞれの個性や考え、夢を発信出来るような、そして生かされるような社会を実現できるよう、番組ではこれからも、学生の声を発信し続けます。
Season2 第1回目では、3年生の里見奏子さんが、“発電“をテーマにお話しします。
電力自給問題が取りざたされる昨今において、改めて持続可能なエネルギーについて考えてみませんか?自家発電から自己発電。現代の技術と融合して、もっともっとその可能性を探りましょう。
時事トピックスでは、“教員免許更新制廃止“という時事問題を取り上げます。
→ ポッドキャストを聴く(音声配信ツール「Anchor」)
以下全文
皆さんこんにちは。慶應義塾大学3年の里見奏子です。慶應義塾大学KGRIによって活動している私たち学生によるポッドキャスト。
この番組が始まってから約半年、今回よりourfutureシーズン2が始まりました。2040年という未来までに日々大学で学んでいる私たち学生には、何ができるでしょうか。
目まぐるしい社会に触れながら、それぞれの日々に励んでいる私たち学生。ひとりひとり違う個性があって、考えがあって、夢や理想があります。それを発信出来るような、そして生かされるような社会を実現できるよう、番組ではこれからも、学生の声を発信し続けます。
学問はどのように変化していき、今学んでいることはどこに辿り着くのか。時事のニュースや話題を、共に語っていきたいと思います。
2022年の夏は、史上最速で梅雨が明けました。
まぶしい日光に汗を流し、涼を求める生活をしていると、日本の夏だなと実感します。しかしそれにより 電力需給が逼迫し、社会全体、そしてひとり一人の生活から 節電が呼びかけられています。今回は、私が描く電力の未来についてお話したいと思います。
人間の生活はこれからも半永久的に続く、という前提があるからこそ、私たちは 持続可能な社会を 目指します。電力ももっともっと、地球に優しくて、持続的にクリーンな供給源を 探る必要があるのです。少し話しが変わりますが、私は今歴史を勉強しています。過去を研究することの意義は、そこに今を生きるヒント、未来を想像するヒントが隠されているということです。私は、持続可能なものを探る過程で、持続可能だったもの、について考えてみました。
古くから、人間よりももっと昔から、日本社会にあった 光 には、何があるでしょうか。そのひとつに、ホタルの光 があります。「伊勢物語」「源氏物語」の世界から、その後スタジオジブリ映画、『火垂るの墓』に描かれているように、大戦期も、日本の夜に生きていました。人間はホタルの光に、実用的に助けられたり、その神秘性に心を奪われたり、そんな歴史を 歩んできました。しかしホタルたちの光は、人間が生み出したものではありません。ホタルの ホタルらしい アイデンティティを、人間が生活によく生かした結果です。ホタルたちにヒントを得て、人間ならではのアイデンティティを、
生活に生かすことは出来ないでしょうか。
私は、これからの社会においても無くなり得ない、人間ならではの特徴に着目しました。それは”声”です。現在、音を使って電気を作る音力発電は、持続可能な開発エネルギーの一つとして 研究もされつつあります。街の音、騒音、旅客機のエンジン音を エネルギーに変える取り組み、更には、音を吸収する防音効果を含んだ 住みやすいまちづくりにおいても研究が始まっています。私たち人間は、かつてよりも多くの人とコミュニケーションをとり、言葉でやり取りをするようになりました。感情も豊かになり、
言葉で何かを表現する、そもそもの機会が格段に増えたのです。そんな自分の多くの声が、エネルギーになったらいいと思いませんか?私は2040年という未来の社会で、皆が”音力発電”ならぬ”言葉発電機”を持ち歩いている社会を想像しました。スマートフォンをはじめとする小型の電子機器を手放せない私たちですが、自分の声をはじめとする、音の振動から、電力を生み出し、自分の電子機器を動かす電力に変換出来たら、、、未来の社会では、自家発電を更に小さくした、自己発電、なるものがあったら良いなと思います。
ホタルたちは今、どこの夏の夜にいるでしょう。私は幼少期、田んぼでたくさんのホタルを追いかけました。しかし、数年前に行われた田んぼの入れ替え工事のあと、私の前に簡単に姿を現すことは無くなりました。地球は人間だけのものではありません。人間の発展が 何かの歴史にピリオドを打つこともまた、哀しいことです。人類の発展に多くの電力が欠かせない時代ですが、これからの時代を作る私たちは、自然が消費の対象ではないことを 改めて認識しなくてはいけません。節電に始まり、再生可能エネルギー、そして自家発電から自己発電。もっともっとクリーンな電力消費について、どのようなことができるのか、共に考えてみませんか?そして、みなさんで、地球に暮らすすべての命を守りたいです。
今日の気になるトピックス!
今日の気になるトピックスは、教員免許更新制廃止。
今年度に入り、法改正によって、教員免許更新制が廃止され、2022年7月1日時点で有効な教員免許状は、有効期限がないものになりました。つまり、教員免許を一度取得した者は、その免許を取得する過程を一度終えた限りで、半永久的に教壇に立つ権利を保持できるのです。
みなさんは、これを聞いてどのように考えますか?私は率直に、少し怖いなと思いました。たとえば、わたしたちに身近な車の免許にはもちろん、更新制があります。免許は保持しているけれど、なかなか運転する機会があまりない人は、「ペーパードライバー」とよく言われ、経験的にも、技術的にも、ペーパードライバーの運転は、少し不安です。しかし少なくとも免許更新性によって、そのリスクヘッジが法的に とられています。
では、「ペーパーティーチャー」と聞いて、どのような印象を持ちますか?今後は免許自体の更新をせずに、採用ステップに突入します。
また、教員キャリアを続けている教師もまた、外的要因として、教育の原点に立ち返る機会がなくなってしまったのです。
私は現在、中学校社会科、高等学校歴史科の免許取得に向けて、日々、教育について学んでいます。すべての児童・生徒について考える教育の、物事を捉える視点、立場、環境が絡み合う複雑さに、ひたすら圧倒される日々で、まだ現場を何も知らない私ですが、その立場のジレンマや問題の難しさに、悩まされています。
教壇に立つ職に携わることは、とても繊細な配慮を必要とするため、どんなに時代が進んでも、機械への代用は不可能です。しかし今回の法改正は、効率や集約化に重きが置かれる社会の潮流に、本来対応しかねるはずの教員職が、少し 足並みをそろえに行ったような感覚を 覚えました。
もちろん、免許を更新しなくてはいけない、ということではありません。しかし、多くの人に触れる機会がある教員は、子どもたちの今にも将来にも、その保護者にも、そして社会全体や教育という仕組みそのものにも、多方面に貢献し得る立場にあるのです。免許更新制度をなくす代わりに、その本来の意義があうやむやに、おろそかにならないような体制が 必要なのです。
時代の多様性に合わせて、教育がカスタマイズされていくこと。私は近い将来のもっと開放的な教育を理想としました。教員が全てを担うのではなく、社会からアプローチしていくのです。技術が発達し社会が近づいたからこそ、教育にももっとアクセスして、リアルを伝えられると考えます。
更新制がなくなり、教育機関が閉塞化していくのではなく、開放的で社会からアクセスしやすいような変容が今、社会全体に求められています。
シーズン2、初回の配信はいかがでしたか。
日々の出来事の疑問、社会、経済、文化、環境、国際的なトピックを若者独自の目線で、リスナーの皆さんと共に考え作っていく番組です。
時代と共に変化していく学びについて、少しでも興味を持って頂けたら嬉しいです。
これからのourfutureも、楽しみにしていてください!
以上、慶應義塾大学3年の里見奏子がお送り致しました。