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2040独立自尊プロジェクト IMPACTISM
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【6/29開催レポート①】「超高齢社会に我々は何ができる!?」(前編)

“身体×デジタル技術”の最前線

by Keita fukasawa
2022年11月16日
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いよいよ本格始動を果たした「2040コミュニティ」(2040独立自尊プロジェクトコミュニティ/※1)。約250名もの人々が参加して行われたキックオフ(※2)に続いて、第2弾となる公開イベントが6月29日、虎ノ門ヒルズのイノベーション拠点「CIC Tokyo」とオンラインにて行われました。(※3)

「未来を変える」。その決意を旗印に、学生、研究者、企業、行政……既存の枠組みや力学に収まらないコミュニティを結成し、2040年目がけてテイクオフを果たしたところ。離陸からの加速ぐんぐんたる上昇フェーズに、いかなるクエストが待ち受けているのか!?
掲げられたテーマは「超高齢社会に我々は何ができる!? 〜 テクノロジー×社会システム」。それに加えて「メタバース」「身体×デジタル技術」「空飛ぶクルマ」などのキーワードがずらり。

これは……いったいどんな展開に? 研究者スピーチとディスカッション、“未来逆転”への気運みなぎるイベントの模様を、前後編に分けてレポートします。(前編)

(※1) 「2040コミュニティ」と参加方法
(※2)【5/31開催レポート①】「2040コミュニティ」キックオフ(前編)
(※3 )【告知】6/29開催「超高齢社会に我々は何ができる!? 〜 テクノロジー×社会システム」



イベント名
「慶應義塾大学2040独立自尊プロジェクト:
 超高齢社会に我々は何ができる!? 〜 テクノロジー×社会システム」
実施日/実施方法
2022年6月29日 CIC Tokyo & オンラインにて実施

記事制作スタッフ
写真:沖江佳子(慶應義塾大学 2040独立自尊プロジェクトコミュニティ担当)、小野間瑞稀(CIC Tokyo)
文:深沢慶太(編集者/IMPACTISM記事編集ディレクター)
編集協力:阿部愛美(編集者/ライター)



【Opening Remarks】
「2040年コミュニティ」旗揚げの理由

時はいま、超高齢社会まっしぐら。このままでは日本社会や個人の尊厳が危機に瀕する——。
そう、このまま何もしなければ。だからこそ立ち上がったのが「2040コミュニティ」。ここは何度でも繰り返し強調したいポイントです。
司会を務めるCIC Tokyoの藤瀬里紗さんと、KGRI特任教授の浅井誠さん、本コミュニティに熱意を注ぐ2人の冒頭挨拶を、以下に要約してみます。

「テクノロジーの急速な発展を受けて、技術が社会をどう変えていくのかという議論が盛んに行われています。しかし、そうした未来に想いを馳せる以前の問題として、日本社会に存続の危機を突き付けているのが『2040年問題』です。『2040独立自尊プロジェクト』は、日本が世界に先駆けて直面するこの問題の解決策を導くために発足し、この1年間で数多くの研究プロジェクトが走り始めています」

「その一方で、『2040年問題』の解決には、研究者だけでなく学生や企業関係者、行政など、この問題にコミットしたいと思う人々が集うことのできる“開かれた場”が必要です。そのためにCIC Tokyoとタッグを組んでコミュニティを立ち上げ、5月31日にはキックオフイベントを開催。これまでに国内外から100名以上の研究者と、20社以上の企業メンバー、60名以上の学生・一般メンバーが参加し、参加者の輪を広げつつあります。
本日は第2回目の公開イベントとして、いま注目を集める“メタバース”をはじめとするテクノロジーによって、超高齢社会にどう切り込んでいけるのかを考えていきたいと思います」


【Keynote Speech】
「2040年の社会を作る最先端テクノロジーとは!?
〜身体とデジタルがつながる未来〜」

そして本日の登壇者は、慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科(KMD)教授として、触覚技術やVR(仮想現実)、AR(拡張現実)などデジタルテクノロジーを活用した身体性メディアの研究開発と社会実装に取り組む南澤孝太さん。
かたや、超高齢化という社会課題。そして、“身体×デジタル”のテクノロジー。その重なり合うところを照らし出す、2040年への活路とは?
(トーク内容を抜粋構成)

当日のスライド資料より。

私は、人間の体がデジタル技術とつながっていくなかで、生活や働き方、楽しみ方がどう変わっていくのかについて研究を行っています。
その上でキーワードになるのがメタバースです。バーチャル空間上に人々の活動の場や新しい経済圏が広がっていく上で、私たちの体とデジタル技術はこれからどう関わり合っていくのか。そこで取り組んでいるのが、身体的経験を共有/創造/拡張する「身体性メディア」の研究プロジェクト「Embodied Media」です。私たち人間がこれまで自分の体を通じて経験してきたことを、デジタル技術によって拡張したり、他の人と共有したりする方法を探求しています。

いくつか具体例をご紹介しましょう。例えば、手触りなどの触覚をオンラインで届けることで、人と人をさらにつなげていく触覚デザイン(haptic design)の試み。また、住む世界がリアル空間だけでなくVR、ARやメタバースなどデジタル空間上へ広がっていくなかで、空間の捉え方やその感覚を含めたデザインの方法を考えています。
その一つが、現実空間上にデジタルの情報を重ね合わせること。ウェアラブルな仕組みとしては、現実空間を移動するなかで、その場所に応じたデジタルな情報を触覚で伝える服。逆に、建築構造物の方にインタラクティブな機能を持たせることで、中にいる人の感情を読み取って適切なアクションを返してくれるような仕組みも考えられます。

こうした視点から、2040年に向けた大きな社会課題である超高齢化について考えてみましょう。
このコロナ禍においては、人同士の触れ合いが減ったことで信頼感や安心感が低下し、ストレスが溜まっていく“skin hunger(触れ合いの欠乏)”が社会問題になっています。こうした状態の改善につながるのが、デジタルネットワーク上で触覚を伝え、人と人をつなげるハプティクス技術です。

「Fusion」(2019年) © JST ERATO 稲見自在化身体プロジェクト + KMD Embodied Media

これは東京大学 先端科学技術研究センター教授の稲見昌彦さんと共同開発した、遠隔による二人羽織ロボットともいうべき「Fusion」。背中に機械の腕2本を装着し、自分の意志だけでなく他の人に遠隔で操作してもらえるようにすることで、例えば足が不自由な方が両手で車椅子を操りながら、もう2本の両腕で同時に違う作業をすることが可能になります。

このように空間を超えた活動を実現する分身ロボットを、「テレイグジスタンス・アバター」と呼びます。テレイグジスタンス(Telexistence)とは、「Tele(離れて)」と「existence(存在する)」という言葉を合わせたもので、この技術が普及すれば、世界中のロボットの体へ瞬間移動できたり、生身では危険な場所で作業をしたり、小さくなったり空を飛んだりと、これまでの人間では不可能だった新しいスキルを手に入れることができます。

2015年に行われた「HUG Project」では、高齢者施設に入居するおばあちゃんがロボット『Pepper』の体を借りて孫の結婚式に出席したところ、披露宴会場に集まった家族は『Pepper』をまさにおばあちゃんの分身として認識し、目を見て会話をするなど身体的インタラクションを成立させることができました。

「複数アバター分身実験 in 分身ロボットカフェ DAWN ver.β」

また、オリィ研究所が運営する「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」では、「複数アバター分身実験」を実施しました。このカフェでは、寝たきりなどの障がいを抱えたスタッフがロボット『OriHime』を操って接客を行います。このときはスタッフの“マサさん”が、入口でお客さんを案内するロボットとテーブルで対話をするロボット、注文を届けるロボットなど、最大で4体の機体を、なんと視線入力だけで動かしました。体を動かせず外出できない人が、分身ロボットを駆使することで社会へ出て働いている。マサさんと会いにお店へ通うファンの方もいて、さらにお客さんとマサさんが共同でゲーム開発にも携わっています。
超高齢社会においては、移動や労働の問題だけでなく、社会とつながりを持てないことによる孤独も大きな問題になりますが、テクノロジーによってこうした人にもつながりの機会やコミュニティへの接点をもたらすことができるというわけです。

その先にあるのが、人が空間を超えて行動する時代です。その動きは、メタバースというバーチャルな世界を作る動きが加速するのと並行して、デジタル空間上の感覚をリアルな世界で再現する流れにもつながっていくでしょう。
例えば、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が進める「ムーンショット型研究開発事業」の9つの目標のうち、目標1に掲げられているのが、「2050年までに人が身体・脳・空間・時間の制約から解放された社会を実現」すること。メタバース上でリアルな体験を実現したり、身代わりロボットでこれまで行けなかった場所へ行ったりと、人間の能力を拡張することで、障がいを持つ人や高齢者が今よりさらに充実した人生を送ることが可能になります。

私たちはすでに、高度に進化した社会に生きているようでいて、まだたくさんの“生きづらさ”が残されています。しかし、視力の弱い人がメガネやコンタクトレンズを着けることで不自由なく日常生活を送っているように、身体とつながる技術によって人々のウェルビーイングを阻害する要因を解消することができるのです。

そのために私たちは「Cybernetic being」という活動を始めました。今や私たちは一人で複数のSNSアカウントを持ち、それぞれに違う人間関係やコミュニティを築いています。バーチャルYouTuberにとっては、物理的な体よりもバーチャルなキャラクターのほうが社会的に認知されていますし、先ほどの分身ロボットカフェのマサさんもそうですね。
つまり、自分の見せ方について複数の選択肢が生まれている。ある意味で「積極的多重人格」と呼んでもよいでしょうし、小説家の平野啓一郎さんが掲げた「分人」の考え方にも近いものがあります。ムーンショットが目指す2050年には、誰もがサイバネティック・アバターという“もう一つの身体”によって自由自在に活動し、より多様な人生の経験を重ねている——そんな未来社会を創造できるといいなと考えています。

最後に、身体と心の相互作用にまつわる、いくつかの事例をご紹介したいと思います。
一つは、メタバース上のアバターのイメージによって、現実世界における自分の能力が変化するという実験結果です。例えば、天才物理学者として知られるアインシュタインのアバターを使うことで、それ以外の姿の時よりもテストの点数が上がる。アフロヘアのアバターで音楽が上手になったり、筋骨隆々なアバターを使うことで現実世界でより重いものを持つことができるようになったり……身体のイメージが実際の能力を変化させることがわかっています。

「Dementia Eyes」(2021年) © KMD Embodied Media x 株式会社メディヴァ

また、「ポジティブ・エイジング」研究チームの取り組みでは、AR技術を用いることで周囲が歪んで見えたり、色が見えにくかったりと、認知症患者が見ている世界を体感し、“自分と異なる他者との体験の共有”を試みました。
その他に、AIの補助により複数のロボットアームを同時に操作するプロジェクトなどにも取り組んでいます。

このように私たちの研究は、体が感じる世界を身体性メディアによって拡張し、変えていくことで、人間同士のより深い理解につなげていこうとしています。そして、人々が空間を超えてつながっていくことのできる次の社会のインフラをつくっていきたい。それは、私たち人類の可能性を拡張することでもあります。
もし自分のアバターが宇宙ステーションに置かれていたなら、私たちは今この場にいながら、次の瞬間に宇宙へ行けるわけです。そんな未来を、「2040コミュニティ」のみなさんをはじめとするさまざまな当事者とともに、つくっていきたいと考えています。

次回 【6/29開催レポート②】
「超高齢社会に我々は何ができる!?」(後編)

【告知情報】
このイベントに続く一般公開イベントの第3弾を、7/29(金)に実施しました。
詳細は以下をごらんください。

【告知】7/29開催「研究者×産業界×学生 動き出した2040年問題への新たな一歩」

Tags: #Z世代#イノベーション#コミュニティ#サステナビリティ#メタバース#大学生#慶應義塾大学#超高齢社会

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